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オールスターやめてW杯

「足は大丈夫」加地が出場志願
東京DF加地、足首関節炎で大宮戦欠場
FC東京・加地が関節炎と診断…オールスター戦欠場も

出るのか、出ないのか。というか、もう欧州遠征はもちろん、大宮戦もオールスターもどうでもいい。休め、休むんだ、加地さん。「遊離軟骨」とか「フットボーラーズ・アンクル」とか「衝突性外骨腫による関節炎」とか言われても私にはよくわからない。ユーリ・アルバチャコフ?サッカーおじさん?よくわからないが、とにかく今はしっかり治すのが先決だ。大事なのは来年のドイツW杯なのだから。

加地さんのいないドイツW杯など考えられない。だってそうだろう。加地さんが出ないのなら、と日本を始め世界各国からの観戦ツアーがキャンセル続出。スポンサーも次々降板。さらに対戦国もKAJIと戦えないなら出ない、と次々出場を辞退。結局開催国だから仕方なく出場したドイツと、その他数ヶ国による寂しいW杯に。

頼む、加地さん。あなたにはドイツW杯の成否がかかっているのだ。無理せず治して来年に備えてほしい。

遠征やめてオールスター

Googleアラートが加地さんに関するニュースを知らせてきたので、そうか、今日は欧州遠征メンバー発表かと思い見てみると、また別の加地さんの記事だった。加地健校長先生。8700人しかいないのに、やけに活躍している加地さんたちである。

それで我らが加地さんはといえば、遠征やめて遊ぼ、というわけではないが、今回はメンバーからもれたのだった。オールスター後に出発しウクライナ戦だけ出る、という案もあったはずだが、さすがにそこまでの無理はさせないという理由らしい。

2試合留守にしたくらいで駒野にポジションを奪われるような加地さんではないが、やはりちょっと残念である。こうなったらオールスターで頑張ってもらうしかない。大活躍して車をGET、もしくはかつて誰も見たことがないような大惨事に期待だ。弾丸ミドルで飾ってある車のフロントガラスを粉砕、なんてどうでしょう。

ズッキーニしりとり

多忙な加地さんは訪れる暇などなかっただろうが、いや、もしかするとスケジュールの合間を縫ってモリゾーとキッコロに会いに行っていたのかもしれないが、とにかくその「愛・地球博」が閉幕した。閉幕直前の入場者数はすさまじかったらしく、8時間待ちなどというものすごい行列が報道されていた。

順番待ちの行列。それは人類の偉大な発明のひとつだ。早く来た人から、順番に、争わず、何がしかのサービスを受けるための方法。それは秩序の象徴だ。行列の発明がなければ、人々は入場ゲートに殺到し、殴り合い、子どもは蹴散らされ、年寄りは踏みつけられ、女は犯され、強いものがまっ先に冷凍マンモスとご対面し、雄たけびをあげるだろう。

パオーーーーーーン。

でも人類には行列があるから大丈夫。今回の愛・地球博でも、順番をめぐる争いの報道などは耳にしなかった。しかしそんな素晴らしい行列にも、ほとんど唯一にして最大の欠点がある。退屈なのだ。

何時間も、その場を離れることも出来ず、ゆっくりとしか進まない行列に並び続けるのは、退屈でしかたがない。何人かの知り合いと一緒でも、話題などすぐに尽きてしまうだろう。いっそのこと一人なら、本を読んだり携帯ゲームをしたりして時間がつぶせるが、最悪なのは付き合い始めて3年くらいの、もうそれほど話すこともなくなった恋人同士だ。あまりの退屈さに彼女が機嫌を損ね、ケンカになり、別れ話に発展しないとも限らない。そうならないための退屈しのぎに、私が発明した遊びを伝授しよう。その名を「ズッキーニしりとり」という。

ルールは普通のしりとりに順ずる。「ん」で終わる言葉を言ったら負けだ。それにたった一つ、新たなルールを加えるだけである。「ズッキーニ」と言ったら、負け。別にズッキーニなんて言わないよ、と思うだろうが、そうではない。言わせるのだ。これは、超攻撃型しりとりなのである。攻守がはっきり分かれるので、二人でやったほうが面白い。こんなふうだ。

「じゃあ俺から。チーズ」
「ずんだもち」
「地図」
「え?ず…図工」
「渦」
「また?ず、ず、ズィーコ」
「えー、それはちょっと反則だなあ。まあいいか。構図」
「またー?うーん…ズィネディーヌ・ズィダーン。あっ!」

行列に退屈した彼女が機嫌を損ねる前に、「ズッキーニしりとり」をお試しあれ。ただしあまりしつこく「ず」攻撃をしかけると、よけいに機嫌を損ねる可能性もあるのでご注意を。

8702(前編)

予約の時間は過ぎているのに、まだ私の名前は呼ばれない。それとももしかして、もう呼ばれたのだろうか?結婚を期に引っ越してきたこの街での新しい生活にはすっかり慣れたけれど、未だに新しい苗字で呼ばれることには慣れず、自分が呼ばれていることに気が付かないことがまだある。新しい苗字。そう、苗字といえば、徹からのプロポーズは少し変っていた。

当時付き合いはじめて3年目の徹は、その前の年くらいから急にサッカーに熱をあげ始め、日本代表の試合があるときは必ず私が一人暮らしをするマンションにやってきた。私が映画のDVDを観るために奮発して買った、1DKの狭い部屋にはちょっと大きすぎるプラズマテレビが目当てだ。

その日も徹はいつものようにやってきて、いつものようにビールを飲みながら試合を観ていた。サッカーにあまり興味がなく、ビールのおつまみを作ってはそれを運び、キッチンとリビングを行ったり来たりていた私が、その試合は結局日本が勝ったけれど、内容的には徹の満足できるものではなかったらしいと分かるのは、徹が時々画面に向かって叫んぶその声に、怒りや落胆の感情がはっきりと表れていたからだ。「サントスー!」とか、なんとか。

試合が終わりテレビを消した徹は、考え込むように少し黙ったあとで、キッチンで洗い物をする私に元気のない、でも深刻そうな声で聞いた。「なあ、早絵、俺の苗字になるの、嫌か?」。突然のことで驚いて、私は聞き返した。「ねえ、それってもしかして、プロポーズ?」

8702(後編)

お互いの両親に挨拶し、指輪を買い、式場を決め、新居を見つけて、それくらいあとになってから徹は白状したのだけれど、あの時「うん、まあ、一応、プロポーズだけど」と答えたものの、実は全くそんなつもりではなく、ただ純粋に浮かんだ疑問を口にしただけだったのだそうだ。「あの試合観てて、思ったんだよ。早絵は俺の苗字で呼ばれるの、やっぱ嫌だろうなあって」。

そんな疑問が湧くということは、徹は私がいずれ同じ苗字になることを当然のことと考えていたという証拠だし、それに結果的に私たちはこうして結婚できたわけだからまあいいのだけれど、でもよく考えたら、つまり私はまだちゃんとプロポーズされていないということではないか?プロポーズされていないのにOKの返事をし、プロポーズされていないのに結婚して、プロポーズされていないのに…ん?あ、私が呼ばれてる。

「加地さーん、加地早絵さーん、診察室へどうぞ」

はーい。まだ慣れないその名前に返事をする。加地さんと呼ばれるのは全然嫌なんかではなく、むしろそう呼ばれて返事をするときに心の中に一瞬現れる、照れの交じった小さな違和感のようなものに、今はささやかだけれど確かな幸せを感じるのだ。プロポーズされたかどうかなんて全く問題じゃないほどの。

立ち上がって診察室へと向かう。目立ち始めたお腹をそっとおさえながら。

もしも世界が8700人の加地さんだったら

偶然、こんな人がいることを知った。葛飾区の区議会議員らしい。ちなみに趣味は野球だ。

どこかの区議会とか市議会とかに、漢字は違っても「かじあきら」という名前の人がいないかと検索してみたが、加地浩京都市会議員や加地禎満濃町議会議員など、近い名前の方は見つかったものの、「あきら」さんを見つけることはできなかった。

そもそも、「加地」という苗字の人はあまり多くいないのではないだろうか。ためしに苗字のランキングを検索できるサイトで検索してみると、「加地」は全国で1802位であることが分かった。分かったのだが、よく分からない。

1802位って、多いのか?

「加地さん」の人口は約8700人とのことで、そう考えるととても少ないような気がし、たとえば「小笠原さん」は236位で約92600人もいる。そんなにいるのか、伸びかけ坊主頭が。って、全国の小笠原さん全員が小笠原ヘアーであるとは限らないが。

参考までに、比較的珍しいと思われる自分の苗字も検索してみると、加地さんより500位ほど下、6000人いない程度であった。え、そんなにいるのか、と勘違いして驚いている人がいるといけないので念のために断っておく。

私の苗字は「かじだいさんじ」ではない。

まあ私の苗字などどうでもいいのだが、とにかく加地という苗字の人はあまり多くはないらしい。今後日本代表に加地さん以外の「加地」という名前の選手が選出されることはないだろう。日本サッカー史上たった一人の「加地さん」。それが、加地さんなのだ。

肩書き

テレビのワイドショーで何か話しているその人の肩書きは、見なれぬそれだった。

「プロ・ナチュラリスト」

いつでもどこでもどんなときも、自然体。嬉しいときには大声で笑い、悲しいときにはおもいっきり涙を流す、だって私は私だから、みたいな生き方、そんな生き方の、プロフェッショナル。あるのか、そんなプロフェッショナルが。SHIHOとかがそうなのだろうか。そしてそんな人が、なぜ逃げたニシキヘビの話をしているのだ、と思ったら、この場合の「ナチュラル」は「大自然」の方のナチュラルで、つまりこの人は大自然に詳しい人で、それのプロフェッショナルなのだった。日本語で言うと「自然案内人」ということになるらしい。

さて、加地さんの肩書きである。この文脈でいけば、私が思いついたそれはもはや書くまでもないかもしれないが。

「プロ・フンワリスト」

日本語で言うと「ふんわりクロス案内人」。違うか。ご案内してどうする。ふんわりクロスを、あげるのだ。羊を飼うのが「羊飼い」。絵を描くのが「絵描き」。薬を売るのが「薬売り」。だから加地さんのそれは、こうだ。

「ふんわりクロスあげ」

何か違う。居酒屋のメニューみたいだが、それは「ふんわりさつま揚げ」なのだった。というか、今さらであるが、私が決定的に間違っているのは、私がここで頭を悩ませずとも、加地さんには既にちゃんとした肩書きがあるということで、「Jリーガー」、もしくは「プロサッカー選手」が加地さんのそれだ。日本語で言うと「球蹴り」か。いや、一般的なJリーガーはそうかもしれないが、加地さんに限っては違うような気がする。

「縦走り」

縦に走るプロフェッショナル。プロ縦走り。球を蹴ることなど、おまけみたいなものだ。縦走り日本代表。縦走りの頂点を極めた男。それが加地さんなのだ。

オールスター

2005JOMOオールスターサッカーのメンバーに、我らが加地さんも順当に選出された。オールスター後すぐに代表に合流しウクライナ戦にも出場するようで、両方の試合で加地さんがどんな活躍をみせてくれるのか、今から楽しみである。

ところでメンバー表を見て誰もが感じる違和感は、新潟がJ-WEST、つまり西軍に入っていることで、確かに一般的な都道府県の並び順に従ってチーム分けをすればそういうことになるのだろうが、このチーム分け、J-EAST、J-WESTという名前がなければ東対西には見えないのではないか。

首都圏 対 地方。

まあつまりは首都圏にチームが多すぎるということで、だから無理矢理東と西で分ける必要もないのではないかと思え、実際年間順位でチーム分けしていた時期もあったはずで、もっと別のチーム分けを考えてもいいのではないだろうか。

郵政民営化賛成 対 反対。

選挙の盛り上がりに便乗。いや、冗談はともかく、例えば同じクラブに所属する選手が別のチームに分かれて対戦するチーム分けも面白いのではないか。今野に削られる加地さんとか。それならば分け方などもうどうでもいいのだ。

イケメン 対 その他。
A&AB型 対 B&O型。
トランクス 対 ブリーフ。
つぶあん 対 こしあん。
巨乳 対 美乳。
父さん 対 ロリコン。

その他、学力テストの結果で分ける「おりこうさん 対 ばか」、オールスターやろーぜー、などと放課後空き地に集合するかのように現れ、チーム分けよーぜー、グーとパー、グーとパー、グーとパー…決まんねー、などと言いながらキックオフ直前になんとなく別れる「グー 対 パー」など、なんでもいいじゃないか。

イケメン軍でもAB型軍でも美乳軍でも何でもいい。夢の球宴で加地さんは我々にどんな夢を見せてくれるのだろう。取っちゃいますか、MVP?

ネーミング

MX-TVのアナウンサーもホンジュラス戦を観戦し、それで加地さんによく似合っていたあの看板が強く印象に残ったのだろう、今日のFC東京対清水エスパルス戦の中継で、加地さんがクロスをあげたシーンでこう実況したのだった。

「加地がやわらかなクロスをあげた!」

新しい名前の誕生である。「やわらかクロス」。女性的なというか母性的な(そう、加地さんはピッチ上の聖母マリアなのだった)ものを連想させる、素敵なネーミングではないか。全ての男はやわらかなものが大好きで、全ての男はやわらかなものの前で無力だ。そんなクロスを前に、闘争本能などどこかへ消えてしまうに違いないのだ。

さらに私は、ふんわり、やわらか、と何度か口に出してみているうちに、それらを合体させるとさらに素晴らしい名前になることを発見したのだった。

「やんわりクロス」

GKにキャッチされることも、DFにクリアされることも、さらには味方FWにシュートされることも、奥ゆかしい加地さんらしく遠まわしにやんわりとお断りするクロスに、それはぴったりの名前だと思うのだがどうだろう。