「やわらか」の文字がよく似合う加地さん
股間に何かぶらぶらさせている加地さん
突風にあおられたペットボトルのように転ぶ加地さん
正座して反省する加地さん
加地さんをにらむ楢崎と恥ずかしい格好の宮本
「やわらか」の文字がよく似合う加地さん
股間に何かぶらぶらさせている加地さん
突風にあおられたペットボトルのように転ぶ加地さん
正座して反省する加地さん
加地さんをにらむ楢崎と恥ずかしい格好の宮本
台風による中止が心配されたホンジュラス戦も予定通り開催が決定したようだが、雨や風が強ければ、それが試合に何らかの影響を及ぼすのは間違いなく、そして風の影響を一番受けるのは、やはり我らが加地さんのふんわりクロスだろう。
いつもはふんわりと宙を舞い、逆サイドへぽとりと、もしくは直接ゴールラインを割るそのクロス。しかし今日はペットボトルをもなぎ倒す突風の影響で、思いがけないことが起こるかもしれない。
直接サイドラインを割る。右の。
ふんわりとゴール前に上がったクロスが、突風に押し戻されて方向を真逆に変え、そのまま加地さん本人の頭上を越えてサイドラインを割る。魔球だ。誰にも真似できない、ものすごい魔球。だがこの魔球には弱点があるのだった。
相手のスローインになっちゃう。
意味がない。でももしかすると風向きによってはまた別の魔球が生まれるかもしれず、ふんわりクロスが風に乗って、ただでさえ相手GKも相手DFも味方FWも落下地点が読めないそれが、さらに不思議な弾道となり、そのまま直接ゴールに入ってしまう可能性だってあるのだ。まさに神風。でも喜ぶのは早い。
よく見たらオウンゴールだった。
ふんわりクロスが風に乗って乗って相手ゴールからどんどん遠ざかり、ハーフウェイラインを越え、さらに風に乗って乗って宮本の頭上を越え、楢崎のグローブをすり抜け、ふわりとゴールネットに着地する。
風よ、吹け。ふんわりクロスと僕らの夢を乗せて、ドイツまでも。
最寄駅の構内放送で、迷子を知らせるこんなアナウンスが流れていた。
「5歳のなかむらしゅんすけくんを駅事務室で保護しています」
ホンジュラス戦のために帰国し、ついでにファミマへ行こうとした俊輔が、ひさしぶりの日本で道に迷ってしまい、なぜか私の最寄駅で保護されたらしい。だが、と私は頭脳をフル回転させて推理する。いや、これは俊輔じゃない。たぶん、俊輔と同姓同名の、別人が迷子になっているのに違いない。根拠ならある。
俊輔はたぶん、5歳じゃない。
まあそんなくだらない推理などはどうでもよく、気になるのは子どもに「なかむらしゅんすけ」という名前をつけた親の気持ちだ。しゅんすけくんが5歳なら、生まれた当時すでに俊輔は活躍していたはずで、あえてその名をつけたからには親は何らかの期待や願いを込めていたに違いなく、たとえばサッカーがうまくなってほしいとか、世界で活躍してほしいとか、いや、でももしかするともっとささやかな希望だったかもしれない。
ファミマへ行けますように。
そんな親はいない。もちろんイケメンになりますように、という希望だった可能性もあるが、それは言うまでもなく別のシュンスケだ。
さて、加地さんである。梶さんでも鍛冶さんでもいいが、今、男の子を授かった全国のかじさんのうち、その子に「あきら」と名づけようと思う人はいるだろうか。控えめな人になってほしいとか、心優しい人になってほしいとか、イジられキャラに育ってほしいとか、そんな願いを込めて。でも実在する人と全く同じ名前というのはつけるのがためらわれるものなのかもしれない。ではこれならどうだ。
さん。
名前が、「さん」。加地さん。
いかがですか、全国の加地さん、息子の名前に、さん。私がもし加地という苗字で息子が生まれたら、絶対につけないけれど。
前回のくだらない問いかけに、たくさんの方が票を投じて下さった。集計結果は父さん派とロリコン派がほぼ同数であり、どちらが多数派ということはないようであった。
ところで私は「あなたは父さん派?それともロリコン派?」と問いかけてしまったわけだが、ご指摘をいただいたように「父さん」に「派」をつけて「父さん派」とひと続きにすると、「ロリコン」と同じイントネーションになってしまう。あらためて日本語は難しいと考えさせられるが、「加地さん」の発音も、私のそれに限ってかもしれないが、同じような現象が起きていることにも気がついた。
ほとんどそのような機会はないが、私が加地さんを「加地」と呼ぶとき、おそらく「火事」と同じイントネーションで発音している。そこにそのまま「さん」をつければ私も父さん派になるはずだが、なぜか「ロリコン」になっているのだ。「さん」がつくことでそうさせているのだろうが、「さん」がつけば必ずそうなるわけでもない。
KINGカズ。「カズ」のイントネーションは、ほとんど全ての人が「火事」的それで発音しているだろう。私もそうだ。では「カズさん」はどうだ。それは決して「ロリコン」には変化しない。そのまま素直に、「父さん」的イントネーションである。不思議だ。「さん」をつけると、同じイントネーションの「加地」「カズ」が、それぞれ「ロリコン」「父さん」に分かれてしまう。
さらに不思議なのは、私は子どもの頃、近所の「鍛治さん」という人を「父さん」的イントネーションで呼んでおり、私の頭には「かじさん=父さん」というイントネーションが刷り込まれているはずで、それなのに私はなぜ加地さんだけ「ロリコン」呼ばわりするのだろうか?
わからない。でももしかすると、それは呼ばれる側のキャラクター、もしくは、呼ぶ側のその人に対するまなざしによるのではないだろうか。ここでまたKINGカズを例にあげると、こういうことになる。
(「父さん」で)「カズさん、お願いします」
(「ロリコン」で)「加地さん、頼むよ〜」
さて、そんな加地さんは順当にホンジュラス戦のメンバーに選出された。ジーコはW杯に向けてメンバーを固定し始めるらしいから、加地さんの本戦出場も当確が出たと言っていいだろう。
来年の6月、TVの前で、もしかするとドイツのスタジアムで、父さんでもロリコンでもいい、それぞれがそれぞれの「加地さん」を叫び熱狂するのは間違いないのだ。
かじまこと。加地さんと似た名前の彼は、ドラマ「スローダンス」に出て来る人物の役名で、漢字では「梶誠」と書くらしい。加地さんと名前は似ているけれど、風貌はあまり似ていない。どちらかと言えば、三都主に似ている。
それはともかく、ドラマで彼は「梶くん」と呼ばれていたのだが、私が気になったのはそのイントネーションである。「かじくん」。あれ、そうなの?そういうイントネーション?
とここで、イントネーションを文字で表現することの困難さに突き当たるわけだが、その「かじくん」のイントネーションと似たそれである単語を列挙することによって、それを表現することを試みてみる。
父さん
羊羹
ヨルダン
Qちゃん
チューヤン
トマソン
ラーメン
ピーマン
表現できているだろうか。梶くんは、上に挙げた単語と同じようなイントネーションで「かじくん」と呼ばれていたのである。私が加地さんを「かじさん」と音読するときのイントネーションは、違う。下記の単語と似たそれだ。
倒産
洋館
養蚕
牛丼
快感
肉まん
短パン
ハミチン
ロリコン
一般的に「加地さん」はどちらのイントネーションで発音されているのだろうか。「加地さん」は主にネットで使用される呼び名であり、つまり話し言葉ではなく書き言葉であるから、そもそも正しいイントネーションなどというものはなく、各々が勝手なそれで発音すればいいのかもしれないが、どちらが多数派なのか、ちょっと気になったのだ。
あなたは父さん派?それともロリコン派?
今やネットではすっかり「加地さん」という呼び名が定着した加地さんであるが、家族や親しい人たちは、加地さんを一体どんなそれで呼んでいるのだろうか。普通に「亮」「亮くん」などか。もしかするとかわいく「あっくん」「あっちゃん」だったりするかもしれないし、親戚の子どもからは「あきらのおっちゃん」と親しみを込めて呼ばれていたりするかもしれない。
私もここでこそ「kajidaisanjiさん」などと呼ばれているものの、日常は本名やそれから派生する呼び名で呼ばれている。あたりまえだ。だって、変じゃないか、「kajidaisanjiさん」なんて。言いにくいし。「カジダイサンジサン」。ところが昨日から、私は日常において、もっと変な呼び名で呼ばれることになってしまった。家の者が唐突に、私をこう呼んだのだ。
「鼻づまり」
とてもそうは思えないが、それは私の呼び名であるらしい。「鼻づまり」。これはちょっと、どうなんだろう。まあ、呼び名なんて、戸籍が変わるわけではないのでなんでもいいのではあるが、例えば公共の場で遠くから大声で「鼻づまり!」などと呼ばれるのはちょっと恥ずかしいからイヤだなあとは思うものの、問題はそういうことではない。
私は鼻などつまっていない。
すーすーしているのだ。
もう髪型の話題はおしまいにしよう、今日はジュビロ戦での加地さんについてちゃんと書こうと思いTVをつけた私だったが、ブラウン管の中に、そうはさせまいとする男がいた。
ルーカス。短い。短すぎる。っていうか、青い。青白い。いくらなんでも、青白すぎる。
±0のサッカーマット。前から欲しかったのだが、コーナー、タッチライン、ペナルティエリアの3種類のうちどれを買うか迷い、なかなか買えずにいた。デザイン的にはやはりコーナーが一番いいとは思うものの、私が買うべきなのは本当にそれなのだろうか。
さんざん迷い続けたあげく先日ついに決断し、買ったのだった。早速部屋に敷いていると、家の者が来て、それを見つけて言った。
「社長室じゃないんだから」
間違っている。確かに一見似てはいるが、これはパターの練習をするやつではない。というかそもそも、確かにそういうイメージはあるものの、社長は本当に社長室でパターの練習などしているのだろうか。もししている社長がいたら、そんな会社はちょっとやばいのではないか。仕事しろ。
いや、これはね、サッカー場に似せたマットでね、ほら、この白いのが、という私の説明をろくに聞きもせずに家の者は続けて聞くのだった。
「いくらすんの?」
「な、7000円…」
「高っ!」
確かに高い。何のためでもなく、ただこのネタのためだけに7000円は、どう考えても高いのだった。本当に欲しかったコーナーをあきらめてまでの、7000円は。
先日、加地さんとそのチームメイトのササさんの髪形について書いたが、ササさんの「ひょろり」同様、気になる髪型のサッカー選手は多いのであり、例えばそれがそのままニックネームにもなっているボンバヘッド中澤や、古いところではレゲエくんこと森敦彦。CMにも出演したアルシンド、って、あれは髪型とはちょっと違う、何てゆうかその、髪型とはそう「する」ものであり、彼のあれは本人がCMで言っていた通り、そう「なっちゃった」もので、つまり、言葉を選んで慎重かつ遠まわしに表現するならば、あれは、ハゲだ。
そんな個性的な髪型の選手たちの中で、私がとても気になっているのは、小笠原満男である。小笠原のそれは特別個性的というわけではなく、坊主頭が伸びちゃった中学生、といった髪型なのだが、だからこそ、私は気になるのだ。
いつ見ても伸びちゃってる。
さっぱり刈りたての坊主頭の小笠原を見た記憶がない。いつ見ても、あー、そろそろ床屋行かないとなあ、といった感じの、伸びちゃったという印象を受けるのは私だけだろうか。
あれはどういうことなのだろう。小笠原は異常に髪の伸びが早いのか。あの顔で、実はエロいのか。鹿島のキャバクラで暴れてるのか。それとも伸びかけではなく、伸びかけのように切っているのか。週に一度は代官山あたりの美容室で、カリスマ美容師に「五分刈りから4週間のイメージで」とか細かくオーダーして作り上げているのか。
気になる。なっちゃってるのか、してるのか。移籍問題より、気になるのだ。
美織ちゃんが、覚えたての加地さんの名前をつぶやいている。「加地さん加地さん」。そうだ、加地さんに賭けをしよう。もし加地さんが、今日の試合で相手ディフェンダーにコースをふさがれたとき、いつものようなバックパスじゃなく、勇気を出してドリブルで勝負をしかけて相手をかわし、クロスを上げたら。そしたら俺は、美織ちゃんに告白する。クロスの結果はどうでもいい。勝負する勇気。そう、必要なのは失敗を恐れない勇気だ。よし、加地さん、頼んだぞ、勇気をくれ。
試合は一進一退の攻防。俺はあまり試合に集中できない。いつも以上に、加地さんを目で追って、応援してしまう。試合結果よりも、今日は加地さんの勇気が俺にとっては重要なんだ。なかなかチャンスにからめないまま迎えた、後半。加地さんが高い位置でボールを受けた。相手ディフェンダーが素早く寄せてくる。行け、行ってくれ、加地さん、ここは勝負だ!
俺の心の声が届いたのか、加地さんが縦へ突破にかかった。しっかりついてくるディフェンダーを振り切り、タッチライン際で強引にクロスをあげた。やった!加地さんが勇気を見せてくれた。よし、俺も、勝負だ。隣を見ると、美織ちゃんが俺のさっきの冗談を真に受けたのか、目を閉じて何かを願っている。見つめ返されるとまた勇気がしぼんでしまう。これはチャンスだ。加地さんがくれた、告白のチャンスだ。スタジアムの歓声に負けないように、目を閉じたままの美織ちゃんに思いっきり叫んだ。
「ずっと前から美織ちゃんのことが好きだったんだ、俺と付き合ってくれ!」
とっさに出てきたのは、ありきたりの告白のセリフだった。驚いたように目を開けた美織ちゃんの表情が、照れた笑顔に変り、小さく、こくりとうなずいた。やった、加地さん、俺、やったよ!