なぜと言われても困るのだが、私は突然、ルービックキューブについて考えているのだった。と、ここで気になるのは、もしかしたら最近の若い人たちはルービックキューブが何なのか、知らないのではないかということで、念のため説明すると、立方体の、6色の、面を、こう、回して、合わせる、っていうかそうだ、あいのりでコータがやってたあれだよ、って、それはそれで知らない人には全く分らない説明になってしまった。
ルービックキューブが流行った頃、私はまだ子どもだった。ここでちょっと自慢というか、いや、自慢というほどでもないけれど、まあ客観的事実としてですね、私、比較的お勉強ができる子どもだったんですね。なので、当然簡単に解けるだろうと思っていたのだ、実際にさわってみるまでは。ある日父親が買ってきたそれに早速チャレンジした私は、すぐに愕然とすることになる。
解けない。何とか2面くらいまではそろうものの、そこから先がさっぱりダメだ。挫折だ。私は思った。僕はもしかして、頭が悪いんじゃないだろうか?ちょっとお勉強ができるからといって、勘違いしていたのではないか。実は僕は、ばかだったのだ。
ところがある日突然、私はルービックキューブの全面をそろえる方法を発見する。3列をちょっとずらしてひねるようにすると、キューブのパーツ1つ1つが、芯の部品から外せることに気がついたのだ。全てのパーツを外し、それを色ごとにはめ込んでいけば、簡単に全面をそろえることができた。
やっぱり頭がよかった。別の意味で。それは一般的に「ずる賢い」と呼ばれる。
その後結局ちゃんとした手順でそろえることは諦めてしまい、そのうちにキューブのことなど忘れてしまったし、キューブそのものもとっくに手元にはない。そして今、思うのだ。当時解けなかったのは私がばかだったからなのか?それともただ子どもだったからか?大人になった今、それに挑戦したら、もしかして解けるのではないか。調べてみると、今でもそれは売られている。試してみたい。もし今解けないとしたら、私は本当にばかだったということだ。