何の説明もなくこの映像を見せられたなら、誰もがこれはきれいな満月だと思い込み、うっとりと見とれてしまうに違いなく、そのときピッチにいたチョンブリの選手たちもきっとそうで、いや、もしかしたらそれが加地さんの右脚から放たれたふんわりクロスだということに気が付いていたのは、ルーカスただひとりだったのかもしれない。
加地さん、ふんわりクロスで見事にゴールをアシスト。いつものように無人の逆サイドにぽとりと着地するのかと思いきや、画面外から猛スピードで走りこんできたルーカスの足に吸い込まれるように落下、放たれたシュートはゴールネットに転がり込んだ。ふんわりクロスの“緩”とルーカスのダッシュの“急”のコントラストが美しい、ナイスゴールであった。
試合後のヒーローインタビューでは、先制点の山崎、それをアシストした安田に続き、なんと加地さんが登場。しかしさすがは控えめな加地さん、しゃべり始めたとたんBS朝日の放送時間が終了、ばっさりとカットアウト。少し遅れて放送が始まったNHK-BSでは、加地さんだけインタビューそのものがカットだった。どこまでも控えめな加地さん。もしくは、受信料払ってなくてカットされちゃった加地さん。
ところでこの試合とは全く関係ないのだが、最近Jリーグでは例の「死ね」発言や、大久保のイエローなど、審判問題が話題になっている。たしかに不可解な判定をされれば選手は腹が立つだろうが、頭に血が上りうまくコミュニケーションがとれなくなっている審判に、食ってかかるように意見をするのはやはり得策ではないだろう。そんなときは、今回オフサイドを取られゴールを取り消された播戸を見習って、笑顔で審判に接するべきだ。こんなふうに。
副審にニッコリ笑顔で接する播戸。接するっていうか、貼り付いている。ちんちんに。
そんな播戸に見習った加地さんは、相手選手に、接してみたのだった。
困惑気味のチョンブリの選手。
それを見ていた橋本、
「いいでしょ、一瞬、ペロって。ね?ね?」
ところで、そういえば今シーズン、まだ加地さんの顔をちゃんと載せることができていないのだった。アップで映し出されたシーンをキャプチャしようとチャンスをうかがっていると、映った、今だ。
残念、チョンブリ選手のディフェンスに阻まれてしまった。
ちくしょう、密着マークだ。
見えた。