30分かけて香ばしくカリカリに焼けた生地と、しっぽまでぎっしり詰まってはみ出しそうな、っていうかはみ出してるし。あんこ。そんな「ひいらぎ」のたい焼きを釣り上げた加地さん。
よくたい焼きの宣伝文句として言われる「しっぽまであんこがぎっしり」であるが、しっぽくらいはあんこ入れないでくれよと思う私は、生地生地生地、とっても大好き、kajidaisanji、って、これは、あんあんあん、とっても大好き、ドラえもん、の替え歌。
あんより生地が好きだ。たい焼きはもちろん、ドラ焼きや人形焼き、まんじゅう、銘菓「ひよこ」などの生地部分が好きなのである。だからといってあんこ抜きのたい焼きが食べたい、というわけでもなく、私にとっては生地が主であんが従、たとえるならば生地がごはんであんがおかずだという意味だ。ごはんに梅干ひとつあれば十分であるように、たい焼きの生地にもあんこがちょこっとあれば十分なのだ、私には。
そんな特殊な好みの私はさておいても、やはりしっぽにはあんこを入れるべきでないと思う。焼きたてのたい焼きを、頭から食べる。うまいなあ、甘すぎず絶妙だねこのあんこ、なんて言いながらぱくぱく食べて、慌ててちょっとやけどして、アツっ、とか言ったら三浦?とか言われたりして、いや、三浦は言われなくてもいいんだけど、とにかく食べ進んで、最後にしっぽにかじりつく。そこにはもうあんこは入っていない。人はそこで初めて気がつくのではないか、生地に。
あ、生地だ。そうか、生地があんこを包んでくれていたおかげで、俺はそれを食べることができたんだな。生地がなかったらあんこをこんなふうに手で持って食べることはできないし、第一たい焼きをたい焼きたらしめているのは、鯛の形をした生地なんだよな。そうか、あんこの甘さですっかり忘れてしまっていたけれど、生地あってのたい焼きなんだ。ありがとう、生地。ごちそうさま、生地。
もしもしっぽにまであんこがつまっていたら、人はそんな大切なことに気がつかないままたい焼きを食べ終わってしまうのではないか。多くの人にとってたい焼きの生地は脇役かもしれないけれど、脇役あっての主役、両方そろってのたい焼きなのである。
えーと、無理やりうまいこと加地さんの話に結びつけようとか思ったけど、いいや、たい焼きの話で。