A3蔚山現代戦
魚になった加地さん。
絵日記
■8月2日(水よう日) くもりときどきはれ
きょうは、お父さんと、せみとりをしました。ぼくが「せみとりに行こうよ」と言ったら、お父さんは「kajidaisanjiはセミが好きだなあ、ま、お父さんも好きだけどな。そりゃあ若い頃はな、お父さんもセミじゃあ物足りない、やっぱりフルじゃなきゃダメだって思ってたんだけどな、これくらいの歳になってやっとセミの良さが分かったっていうか、むしろ逆にセミがいいんだよ、フルなんかより、こう、秘すれば花っていうのかな、見えそうで見えない、みないなところがな、ってまあkajidaisanjiもそのうち分かるさ」とかわけのわからないことを言いました。
せみはたくさんとれました。たくさんとりすぎて、虫かごがまんいんになってしまいました。お父さんがそれを見て「満員電車だな」と言いました。お父さんは毎朝こんなでんしゃにのってたいへんだなあと思いました。お父さん、むしょくだけど。でもたくさんとれたので楽しかったです。
家にかえって、テレビでサッカーを見ました。でもかじさんが出ていないので、つまらないので、ぜんはんでやめて飲みに行きました。飲みに行ったおみせで「ゆかたデー」をしていて、女の人がみんなゆかたでとなりにすわりました。ゆかたの女の人を見ていたら、さっきお父さんが言っていたことがなんとなくわかるような気がしました。えだまめとコーラを飲みました。とても楽しかったです。
水を○○する選手
明日の分の絵日記を今日のうちに書いてしまえば、明日はお母さんにとがめられることなくA3を観に出かけられる、という名案を思いついたのに、明日の試合、加地さんは出ないかもしれないという。まあ、それもいいかもしれないな。ここのところ毎試合フル出場してはいるものの、脚の状態は決していいわけではないはずで、休んでしっかり治すにはいい機会だ。しかしそうも言っていられないのは、どうやらオシムがA3を視察するらしく、であれば代表入りをアピールするチャンスでもあるので、悩ましいところである。
ところでそのオシムは、以前ジーコJAPANについて「チームには福西のように水を運ぶ選手も必要だ」と言ったらしいが、水を運ぶなら福西じゃなくて加地さんだろう、と一瞬思ったものの、加地さんはペットボトルを立てるのであって運んでいるわけではなく、っていうかそもそもこれは例え話で、水を運ぶというのはつまりチームのために働ける選手、といったような意味だろう。それにしても井戸の例えといい、オシムは「水」がらみの例え話が好きなようだ。では、もしもオシムが加地さんを水の例え方で例えたら、いったいどんな選手と表現するだろうか。
「水を沸かす選手」
燃えさかる闘志で熱せられて、ぐらぐらぐらぐら、ピッチサイドで煮えたぎる水。っていうかもはやお湯。お湯の使い道は不明。
「水を運び去る選手」
こっそりどこかへ運び去る、水泥棒。しかし加地さんはただの泥棒ではなかった。飲み水も満足に供給されない貧しい国の子どもたちへ、匿名で届けていたのだった。感動の逸話。でも泥棒は泥棒なので、逮捕。
「ミミズを運ぶ選手」
そうそう、疲れたときはね、これをこうね、一気に鼻からすすって口からおえっ、ってミミズを運んで来るなよ、鼻からすすっちゃったじゃないか。ほっしゃんでもすすらないぞ、鼻からミミズ。
「水を運ぶ選手。おちょこで」
一回の量がものすごく少ない。しかしここで生きてくるのだ、加地さんの脚力が。おちょこ片手に行ったり来たり。こぼさないように、慎重に。
「水を運ぶ選手。手のひらで」
すくってもすくっても指の隙間からこぼれ落ちてしまうよああなんて無力な僕。
「水を運ぶ選手。トイレの」
ブーーッ (ふき出した音)
井戸
Jリーグはまた短い中断期間に入り、その間ガンバはA3チャンピオンズカップに出場するのだった。また生加地さんを観に行こうとも思ったが、初戦が平日の5時キックオフってのはなあ、夏休み中の小学生はともかく、いや、小学生だって宿題をちゃんとやってからじゃないとお母さんの許しは出ないだろうし、だから私も時間までに宿題が片付いたら駆けつけたい。
ところで日本代表の監督に、オシムが就任した。って何を今さらという感じだが、このカジオログでそのことを話題にする機会が今日まででなかったのだ、金玉とかなんとかで忙しく。その新生オシムJAPANの最初の試合もこの中断期間に行われる。加地さんはA3優先ということなので初戦には召集されないようだが、オシムはその後ちゃんと加地さんを呼ぶだろうか。
オシムはチーム作りについて「古い井戸に水が残っている」と言い、井戸というのはチームを例えて表現したもので、まずは古い井戸、ジーコJAPANの選手をベースにチーム作りを進めていく、という意味なのだろう。だからとりきっと加地さんも招集されるはずだ。ところでチームを井戸に例えた場合、加地さんはいったい井戸のどの部分だろう。水を汲む桶か。それを引っ張り上げる綱か。井筒を構成する石か。それともパワフルなポンプか。いや、どれも違う気がする。
井戸端に咲いた、野の花。
風に揺れ可憐に咲き、水を汲みに集まる人々の心を潤す、一輪の花。いや、もちろん花なんて、水を汲み上げるという井戸本来の目的には何の役にも立たない。でも人々はただ水を汲むためだけに井戸へやって来るわけではないだろう。井戸端会議という言葉があるように、井戸で水を汲みつつ、そこに集う人同士でおしゃべりを楽しみ、つかの間の憩いを得る。井戸とは、そういう交流や安らぎの時間を提供する「場」のことでもあるはずで、だからそこには咲いているべきなのだ、野の花が。
オシムがどんな「新しい井戸」を掘ろうとしているのかはまだ分からない。質実剛健な、ただひたすら水を汲み上げることだけに特化した井戸か。それとも、人々が集まり言葉を交し合い、子どもたちが水を掛け合ってはしゃぎまわり、あがるしぶきが太陽の光にきらきら輝き、水を受けた草や木が葉を広げ花を咲かせ、花に蝶、梢に小鳥、そのさえずりと水のはねる音、笑い声、子どもの歓声、そんな、生きる喜びに満ち溢れた井戸か。
ってそれ、どんなサッカーチームだよ。
ガンバの3人
先日の試合観戦後。
スタジアムを後にし駅まで歩く道すがら、私の真後ろで、「フロンターレの選手、だいたい覚えた?」「うん、もうほとんど覚えたよ」などと話す声が聞こえ、どうやらフロンターレサポーターの彼氏が彼女を誘って観戦に訪れていたようで、何かの話に似ているな、などと思いながら聞いていると、彼氏が「じゃあガンバの選手は覚えた?14番は?」と言い、彼女は「14番は…○○くんがほめてた家長でしょ」とちゃんと答え、どうやら彼氏が家長を高く評価しているらしく、確かにこの試合でもゴールを決めたし、だから彼女もちゃんとその名前を覚えているのだった。じゃあさ、と彼氏は言った。
彼氏 「ガンバの選手3人言ってみて」
私 (お、いい質問)
彼女 「3人?家長でしょ」
彼氏 「うん」
私 (あ、家長も含むのか。まあいいや、次は当然…)
彼女 「あと宮本」
彼氏 「うん」
私 (まあね、まあ一般的にはむしろ宮本が一番だよね。さあ、宮本と来たら次こそは、CMで共演している、代表でも一緒の…)
彼女 「…中山?」
私 (中山かよ!)
私が軽くズッコケたことに二人が気が付いたかどうかはわからないが、ガンバの3人、と言ったらやはり代表の「宮本、遠藤、加地さん」と答える人が多いのではないだろうか。いや、加地さんを「加地さん」と呼ぶかどうかは別として。でももちろん彼氏からの情報が全てであるらしいこの彼女のように、家長などの名前をあげる人もいるだろうし、中にはこんな人もいるかもしれない。
「永島、本並、メトコフ」
時が止まっている。オーレー・オレオレオレー、っていうかメトコフって誰だ。今のガンバの選手でお願いしたい。
「シジクレイ、フェルナンジーニョ、マグノアウベス」
外人好きな彼女。そんなにいいのか、外人が。日本人じゃ物足りないわ、ってか。日本男児加地さんじゃ、だめか。もちろん、3人とも日本人の名前をあげたからといって、こんな答えもどうかと思うけれど。
「佐藤、鈴木、高橋」
間違いなく、適当である。日本で多い苗字トップ3を言っておけば一人くらいはいるんじゃないかという、姑息な手段。でも残念ながら、佐藤も鈴木も高橋も、今のガンバにはいないのだった。
「宮本、ツネさま、お面の人」
どんだけ宮本が好きなんだ。っていうかあれ、お面じゃないし。
「ちん、ぽこ、りん」
もはや謎の生命体。
フロンターレ戦
W杯はテレビで観るだけだったが、今日は違う。生で、ピッチを縦横無尽に駆け回る姿を堪能した。さすがはW杯出場、労を惜しまず走り、ここぞというところに顔を出し、毅然とした態度で笛を吹く、上川主審。って違う。私の目的は、加地さんだ。等々力へ、行ってきたのだ。
普段テレビで中継を観ていてもボールより画面のすみの加地さんの姿を追ってしまう私だから、スタジアムでももちろんそうで、だから私の構えるカメラは加地さんだけを追い続ける「加地カメラ」である。
加地ヒトリ。
両チームあわせて5ゴールの得点シーンのほとんどを私は見逃し、それはつまり控え目な加地さんが得点にも失点にも絡まなかったことを意味する。しかし特に後半には積極的な突破から何度もチャンスを作り、加地カメラもその場面をとらえている。
クロスを上げようとゴール前を見る加地さん。画面左すみにわずかに見えるのが加地さんで、当然だがこれは加地さんが加地カメラにすら映りたがらないほど控え目なのではなく、加地カメラの性能の限界、っていうかつまり私が下手くそなだけである。
この場面は夜のニュースでも流れていたが、前半に久しぶりに繰り出した、敵も味方も誰も触れずただ見送るしかない、ゆっくりと宙を舞って直接ゴールラインの向こうにぽとりと落ちるふんわりクロスこそ本来は放送すべきで、加地カメラもシャッターを切ることを忘れ、ただぼんやりと眺めることしかできない、あれは完璧なふんわりクロスだった。
ダッシュする加地さん。急いでパンを買いに行くのかと思ったがそうではなかった。
うどんを買いに来たけど売っておらず、肩を落として帰る加地さん。
サービスショット。
左脚のシャディの下のテーピングが痛々しい。
がんばれ加地さん、次こそはきっと、切れるさ、髪。
盾
金玉づくしのW杯が終わりずいぶん経ち、もう金玉なんて書かないつもりでおり、実際忘れかけていたところに「金玉さん」の報道で、ついまた金玉ネタを書いてしまったのだが、こんなことばかり続けているとこのカジオログも「子どもに見せたくない有害サイト」と認知され、各プロバイダの有害サイトブロックサービスによってアクセスできないようにされてしまうのではないかと心配になり、だからお願いだ、もう金玉に関するニュースを配信しないでくれ。
ところで日本で「有害サイト」といえば、それは子どもに見せたくないような、性や暴力に関するサイトなどのことを指すのであろうが、ある国では、「国にとって有害だと国が考えるサイト」に国民がアクセスできないようブロックする、というかまあ言ってしまえば「検閲」のシステムが存在し、そのシステムがより巧妙化しているというニュースが報じられていた。記事の最初にこうある。
中国が国家プロジェクトとして進めているネット規制システム「金盾」をバージョンアップし、パソコン別検閲が可能となるなど、より巧妙化している。
金盾。金の盾。金で、ブロック。
加地さん、シュート規制巧妙化 “弾丸”ミドルに対抗
【東京=kajidaisanji】加地さんが家庭内プロジェクトとして進めているシュート規制システム「金盾」をバージョンアップし、弾丸ミドルのブロックが可能となるなど、より巧妙化している。
さん付け
グランパス戦
確かに、体がどんな状態であろうとも、試合があれば出場し全力でプレイするのがプロなのかもしれない。そうかもしれないけれど、今の状態の加地さんに、少しでも休みをあげることはできないのだろうか。加地さん本人が自分の今の状態をどう思っているのかは分からないけれど、そんな姿でピッチに立っているのを見ているこちらの方がつらくなる。グランパス戦、欠場は無理でも、後半3点目が入ったあたりで交代でさせてあげることはできなかったのか。そうすれば、試合終了までの30分くらいで、さーっと、行って来れたんじゃないのか。
床屋に。だいぶ伸びたよね、ちょっと重いなあ、後ろ髪もはねてきてるし。W杯、そして過密日程のJリーグ、家へ帰れば子育てで忙しく、気がつけば髪の毛もっさり伸び放題状態の加地さんに、なんとか床屋へ行く時間をあげられないものかなあ。
しかしそんな髪の毛の重さを感じさせない走りでガンバの勝利に貢献した加地さんなのだった。惜しくも蹴る前にタッチラインを割ったという判定になったが、久しぶりにTV画面の上端へフレームアウトしたまましばらく落ちてこない超ふんわりクロスをあげたり(その後、フェルナンジーニョが真似をしてふんわりコーナーキックを披露したが、加地さんのふんわりさ加減には遠く及ばなかった)、カウンターをくらいあわやの場面に猛ダッシュで戻り玉田にシュートを打たせず、「君のスピード、ブラジルには通用したかもしれへんけど、僕には通用せえへんよ。ま、Jリーグで切磋琢磨してまた一緒に4年後目指そうや」などと耳元でささやいたのか、ありがたいお言葉に感じ入り正座して加地さんの背中を見上げる玉田。
しかしそんな加地さんが相手チームに徹底的にマークされるのは当然で、この試合でも加地さんが倒されるシーンが何度も見られた。
遠藤がなぜ敬礼しているのかはよくわからないが、毎試合こんな目にあっていては、加地さんの脚が何本あっても足りない。でも加地さんのことである、両脚がダメでも、走るだろう、金玉で。金玉で走り、金玉でクロスをあげ、金玉でガッツポーズ。加地さんなら、きっと、できる。