さすがにチケットを焼やしたりしなかったものの、やはり東京は寒く、国立まで行くのすら面倒で、こんな日は家でこたつでテレビだよな、と思ったら家にはこたつなどないのだった。だからホットカーペットに寝そべって日本を応援、がんばれーとかなんとか言いながらぬくぬくだらだらと観戦、ちょっと居眠りして起きたら日本勝利、韓国を撃破。

グラチャンバレーを見てしまった。

というのは嘘である。どこから嘘かというと、「ホットカーペットに寝そべって」のあたりからで、家にこたつがないのは本当だし、東京が寒いのも本当で、チケットも焼やさず、私はちゃんと観戦に行ったのだった。

日本サッカー協会も必死で、加地さんの不在の穴埋めにと、KIRINのコネで国歌独唱に松浦亜弥を起用。最初の「きー」のキーが私の想像していたそれと違い、「きーがーつけばそばに」と歌い出すのかと心配になったがそうではなく、なぜか終始笑顔で君が代を歌ったその姿に、やっべえ生あややみちゃった、入場料の元とっちゃったよ、などと興奮しあやうく騙されそうになったが、いやいや、あややごときでは加地さん不在による私の不満は解消されるはずはなく、どうせなら個人的にはミキティのほうがっていうか、サッカー協会ももっとシンプルに考えられなかったのだろうか。

国歌独唱、加地亮。

とにかく加地さん抜きで試合は始まった。代わりに出場した駒野も、頑張って加地さんばりのGKもDFも味方FWも誰も触れないクロスなどあげてはいたものの、本家加地さんを超えるような驚きも笑いも提供できなかった。

加地さんのいない寂しくつまらない試合の中、高原は頑張っていたのではないか。「頼むよ加地さーん！」とがっかりしつつ絶叫したがっている我々の気持ちを推し量り、ギリギリのところで入らないシュートを連発。「高原ああ！」「引っ込めー！」「ハゲー！」と何度も叫ばせてくれた。その意味では柳沢も同様で、二人とも加地さんの代わりに我々を楽しませようと奮闘してくれた。

試合の結果はともかく、とにかくただただ、加地さんの復帰が待ち遠しい。Ｗ杯本番前に何試合か国内での代表戦が予定されているが、今度こそ代表戦での生加地さんを観たいものである。

この思い、加地さんに届いただろうか。あわてて作ったので「加地大貝辞」みたいになってしまったけれど。

なんかもうなんか、ニュース記事へのリンクとかはるのもめんどくさいというか、こうやってキーを打つのすらおっくうなような気分で、私がそんなふうな状態なのは、今さら書くまでもないが、加地さんが代表合宿を離脱し、アンゴラ戦に欠場することが確定的になったからだ。

いやもちろん驚異的な回復で試合当日メンバー発表直前にロッカールームに「ちょっと待ったああ」と駆け込む加地さん、おお治ったのか、よし、スタメン変更だ、と奇跡の出場、大活躍、という可能性もないわけではなく、って、ないな。ない。ないわ。

そんなわけで今私の手元には、青っぽい装飾がほどこされ、カラスのマークやKIRINなんとか、とか書いた紙切れがあるのだが、これはまさに、紙切れとなったのだった。加地さんの出ない試合など観て何になろう。寒いぞ。11月の東京の夜はもう、寒い。寒さこらえて、大の大人がボール追っかけてわーわーやってるの観て、何が楽しいものか。こんな紙切れなんぞ、ミシン目をぴりぴりと切り離し、アスファルトの上の落ち葉といっしょに焚き火で燃やして芋を焼いてしまえ。燃やして焼いてで思い出すのは、以前どこかで見たゴミ箱に書かれた文字だ。こうあった。

「焼えるゴミ」。

意味は、分かるけど。

加地さんの出ない試合なんかで、私の心は焼えないのだよ。

Ｊの舞台に加地さんが帰ってきた。

って違った、これはパンツに手を突っ込まれてもぞもぞされている小笠原だった。加地さんはこっちだ。

口から何か白い、もしかしたら霊的なものを放出する加地さん。

10月1日の大宮戦以来のリーグ戦出場。前半終了間際には右サイドの高い位置からキーパーもディフェンダーも味方フォワードも誰も触れない絶妙のクロスをあげ、復活をアピール。後半にも実況アナウンサーに「やさしいクロス」と言わしめたふんわりめのクロスでチャンスを演出。試合は引き分けに終わったが、90分フル出場し、これでアンゴラ戦のスタメンは確実だろう。

代表復帰の試合で加地さんは、どんな大活躍を見せてくれるのだろう。どんな大惨事で驚かせてくれるのだろう。期待と不安で胸がもぞもぞする私だ。

■追記
と、思ったら加地さん怪我との記事が。そうは見えなかったが、そうなのか。これはアンゴラを油断させるための、いわゆる情報戦じゃないのか。って親善試合でそれはないか。そんな。嘘だと言ってくれ誤報だと言ってくれ。右足首じゃなく右乳首の負傷だったとか言って僕を笑わせて。

順当に、とは、怪我をしていたのだから言えないかもしれないが、加地さんがアンゴラ戦のメンバーに選出された。しかしやはり怪我明けであり、ジーコも起用には慎重になっているようで、加地さんの出場はまだ微妙だ。

もう何度も書いていると思うが、あくまで本番は来年のドイツであり、ここで無理をして怪我を悪化させる必要はない。とにかく怪我の完治が優先だ。でも、できれば、今回のアンゴラ戦、加地さんには多少の無理をしてでも出場してほしい。ほんの５分の出場で、たった一本のふんわりクロスを見せてくれるだけでもいいのだ。神様、あ、この神様っていうのは一般的に何かお願い事をするときに「神様仏様」とか言う神様っていう意味と、サッカーの神様ジーコ、って言う意味の両方がかかってるんだけど、とにかく神様、何とか加地さんを出場させてください、お願いします。

私がそんなにまでお願いする理由。

私がこのブログだかなんだかよく分からないものから長期離脱している間に、加地さんは天皇杯で復活を遂げていた。なによりである。このままリーグ戦、そして代表戦へも順調に復帰してほしい。

ナビスコの決勝のＰＫ戦をＴＶで観つつ、加地さんが５人目のキッカーに立候補し、原監督以下、ＦＣ東京に関わる全ての人をガクガクブルブルさせた去年のことなど思い出す。来年のＷ杯、ジーコジャパンが何かの間違いで決勝トーナメントに勝ち進み、ＰＫ戦で決着をつけなくてはならなくなった時はぜひ、加地さんにはまた５人目のキッカーに立候補し、今度は日本中をガクガクブルブルさせてほしいものだ。

もちろん宇宙めがけてシュートを外し、我々に日本からドイツに届くほどの大声で、「加地さぁぁん！」という落胆の絶叫をさせてくれるお約束を、今度は忘れずに。

加地さんが試合に出ないとこのブログだかなんだかよく分からないものに書くネタがない、と困っていたのだが、やはり持つべきは友だ。いや、言葉の使い方が間違っているような気がするが、とにかく加地さんのお友だちがまた話題を提供してくれた。

茂庭は以前もお金にまつわるネタを提供してくれたが、盗まれたり散財したり、出て行ってばかりで大変だ。勝利給では追いつかないだろう。次はぜひ「茂庭、東村山の竹やぶで３億円入りバッグ拾う」とかそんなニュースで、一気に借金を返済してもらいたい。っていうか東村山に住んでるのか、茂庭。

茂庭ばかりではあれなので加地さんの話題も。献花する加地さんと魚に親切な加地さん。

ガンバ戦でついに加地さん復帰、ふんわりクロスでのアシストで見事勝利、加地さんが優勝争いを盛り上げる、と期待していたのだが、残念ながらベンチ入りすらしなかった。怪我の具合がまだ悪いのだろうか。ここまできたら無理をせずしっかり治してほしいが、来月のコートジボワールだかトーゴだかアンゴラ戦に間に合うか（というか選出されるか）が心配だ。

前回加地さんのふんわりクロスにあやかったネーミングのお菓子を紹介したが、どうやらお菓子業界では今なぜか「加地さんにあやかれ」ということになっているらしく、また別の、便乗ネーミングのお菓子を見つけたのだった。というか今回のそれは、あやかるとか便乗とかそんなレベルではなく、もはや加地さんそのものをあらわしているとしか思えない。

「Ｊリーガー」「日本代表」に代わる加地さんの新しい肩書き、「ふんわり名人」。ふんわり名人・加地亮。強そうだ。いや、弱そうか。よくわからないが、とにかく加地さんにぴったりの肩書きではないか。

パッケージに小さく書き添えてある「ふわっととける！」というコピーが、加地さんのふんわりクロスを見事に表現している。ふわっと舞い上がり、空中でとけて消えてしまうそのクロス、ディフェンダーもキーパーもフォワードも、誰も触ることができないクロス。

関係ないが、あ、いや、関係あるか、この「ふんわり名人・きなこ餅」、非常においしい。

越後製菓「ふんわり名人 きなこ餅」

中田ヒデは加地さんを認めていない。

私はずっと、そう思い込んでいた。試合中にピッチ上で加地さんにお説教しているところや、全力で右サイドを駆け上がった加地さんを無視するかのように全くパスを出さないところなどを何度も見た気がするからだ。

でももしかして、そうではないのではないか、と思いはじめたのは、先日の加地さんが欠場した東欧遠征の確かウクライナ戦で、中盤でボールを持った中田が、右サイドの無人のスペースに、どう考えても絶対に駒野が追いつけないタイミングでパスを出した時だ。ボールはそのままタッチラインを割り、直後に駒野がお説教されているところがＴＶ画面に映った。声までは聞こえなかったものの、私には中田がこう言っているような気がしたのだ。

「加地なら走っていた」。

まあ、駒野に直接そうは言わなかっただろうが、あのパスは、つまりそういう意味だったのではないか。パスが出る出ないに関わらず、縦に走れ。加地はそうしているだろう？と。

そしてやはり、中田は実は加地さんをそれなりに評価しつつあるのは間違いないようだ。いや、それなりどころではない。今や加地さんを認め、加持さんにあやかろうとまでしているのだった。

中田が役員をつとめる東ハトの新製品が、これだ。

「ハーベスト・ふんわりショコラ」。加地さんのクロスに便乗したネーミング。我々は加地さんのふんわりクロスを見るたびにこの商品を思い出し、食べたくなる。中田役員のしたたかな販売戦略。だからこれからは、中田はサイドを駆け上がった加地さんにたくさんパスを出すだろう。もちろんそれが、中田が加地さんをサッカー選手として認めてくれた、という意味であるかどうかは微妙だけれど。

株式会社 東ハト／商品カタログ／ハーベスト

加地一族のアート部門担当、加地伸幸くん（小４）デザインのごみ減量マスコットキャラクター「ごみゼロん」がついに徳島市のホームページで発表された。

何とコメントしていいのかよくわからないが、とにかく加地一族の才能は平凡な我々にはなかなか理解しがたいのだった。加地さんの才能をいち早く見抜いたジーコや、加地くんの才能を発掘した徳島市長のような特殊な人がいなければ、私たちは彼らが生み出す芸術を見過ごしてしまっていたに違いない。

素晴らしい芸術には、悲しみが含まれている。笑顔がかわいいごみゼロんも例外ではない。ごみゼロんはその手で大きくゼロを作り、ごみをゼロにしよう、と訴えている。だがしかし、そのごみゼロん自身がごみ袋なのであり、だからごみがゼロになればごみゼロんも消えてしまう運命なのだ。それでも、環境のためにごみゼロを訴える。自らを犠牲にしてまで人のためにつくす献身性。まるで、加地さんのようではないか。実際ごみゼロんのモデルは加地さんなのだろう。頬の赤みが、その証拠だ。

ごみゼロんに、そして加地さんに誓う。私もごみを減らす努力をします。さて、このごみのようなブログだかなんだかよくわからないものは、どうしたらいいんだろうか。

多いからといって、偉いとか強いわけではない。

いや、それがサッカーのスコアだとしたら、もちろん多いほうが勝ちであるわけだが、私が言いたいのは、例えば背番号の数字が大きい選手のほうが強いとか上手いとか、そういうことではないという意味だ。加地さんはＦＣ東京では20、代表では21と背番号がひとつ大きくなるが、だからといって代表での加地さんのクロスの質があがるというわけではない。あがるんなら200でも2000でもつけるだろう。

だからイチローより坂上二郎より北島三郎より伊東四朗より野口五郎より道場六三郎より相川七瀬よりタコ八郎が偉いというわけではないし、西条八十が偉大な詩人なのは数字が大きいからではない。

多いからといって、偉いとか強いわけではない。それでもどうしても、ひとつでも多くしたい、上回りたいと考える人たちがいる。

ひとつ、多い。

多いからといって、よりおいしいとか、健康にいいとか、勝ちだとかいうわけではない、と思う。もちろん素直に負けは認める。認めるが、それは数字が多いからではなく、ただ単に、私が個人的に、負けたというだけの話だ。その太ももに。